自分らしさを捉える心理学と活用方法  古典哲学における考え方

自分とは何か、ということのひとつが「性格」であり、コミュニケーションや反応について変化が少なく維持存続するものを指しています。
性格を分類する心理学の一分野を「パーソナリティー心理学」といいます。様々な理論があり、人間の性格を構成する要素は何なのか、という議論がなされています。
現在、通説になっているものはビッグ5理論であり、外向性・神経症性・誠実性などの主要5要素の大小を傾向で見るもので、実証的研究がされており、ある程度脳科学との連動も試みられています。

 

ほか、ユングの内向外向理論に基づいた一連の理論群があり、これに基づいたものでMBTIはじめ一連の査定があります。
しかしこういった背後には、極めて長い古典哲学との接続性があると言えます。

 

 

そもそも臨床心理学全体がそうですが、「人間とは何かを要素分解しよう」ということを考えた場合、少なくとも理論の発端は、何らかの人間の人格的要素を自然言語で分解する発想をすることが最初になります。
こういう発想は数千年にわたり古典哲学において試みられてきたことであり、分類の発想は当然に似てきますし、また理論史から行くと、西洋古典哲学の四元素論は現代心理学の一部にそのまま継承されていると言える要素があります。

(主な古典哲学における人格要素の分割)
西洋古典哲学 アリストテレス・プラトンの四元素論
東洋哲学の易の陰陽説
東洋哲学の五行説
インド思想の3要素論
仏教の五大・六大説

 

 

これらは皆、世界の意味的な要素を分解していると共に、それぞれの理論展開の独特さはありますが、全て人格形成の要素としても捉えられているという理論側面を持ちます。
また、心理査定的なロジック・修行の進行・性格や体型の要素など捉え方は様々ですが、具体的な自己と紐づけるための理論も存在します。

 

たとえば、仏教の五大説は、単に宇宙が創造された時の要素を表す形而上的観念論としてのみイメージされがちですが、「自分の発言と行法の進行を考察すると、水大の要素が多いため、より空に向かっていこう」という風な、各論把握のための理論であるという側面も濃厚だと思います。
これは誕生日から導くというような、暦や天体との間で決定するような理論も一部ありはしますがそういうものは全ての体系において希薄で、ほとんどが現在の自己把握の合理的なロジックです。

 

無条件な受け入れはできませんが、臨床的な心理や自我、ある特定の範囲のキャリア形成を捉えるロジックとして、それぞれがそれなりの説得性があるものだと思います。

投稿者プロフィール

松井勇策 Matsui Yusaku
松井勇策 Matsui Yusaku
公認心理師・社労士・組織文化&心理研究者

深層心理学・文化人類学・宗教学などで明らかになる「太古の知恵」を実践的に、経営やキャリア構築に繋げる研究と発信をしています。
変化を増す社会が、人間本来の感性を大切にするものであって欲しい。

「易」の研究を30年以上行っていてライフワークにしています。

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フォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所 代表
㈱リクルート 経営管理部リーダーを経て独立、東京都社会保険労務士会役員、産業ソーシャルワーカー協会 所属専門家等。WEBエンジニア・メディアデザイナーでもある。
名古屋大学法学部卒業、武蔵野大学大学院 人間学部にて心理学・宗教学等を研究中